
「テーピングを実際に活用したい」
「テーピングをする意味は?」
「トレランのテーピングの仕方のバリエーションを増やしたい」
こういった疑問に答えます。
☑️ 本記事の内容
◯ トレランのテーピング活用の実際
◯ トレランでテーピングを活用する意味(解剖学・運動学から補足)
◯ トレランのテーピング活用の応用
私はトレラン歴6年の市民トレイルランナーです。
現在医学系の大学院へ在学し、研究活動に従事しています。
論文の知識活用・実践を通じ、去年フルマラソンをサブ4で完走できました。
2020年(今年)は10/18に開催の志賀高原エクストリームトレイル(ロング54km)に挑戦予定です。
本記事は、トレランで使用するテーピングの貼り方パート②です。
以前のパート①では、テーピングの種類や貼るメリット・デメリット、具体的な貼り方をまとめましたが、今回はそこから一歩踏み込んだ内容です。
(以前の記事はこちら↓)
Contents
トレランのテーピング活用 ー実際に貼付してみてー
足部のアーチを保つことを目的に、キネシオテープを用い、参考例に沿って貼ってみました。
実際の様子






トレランでテーピングを活用する意味(解剖学・運動学から補足)

足部について
足部は「支持」と「推進」という2つの主要な機能があります。
足部の機能
① 支持
② 推進
「支持のためには強固な構造」
「推進のためには柔軟なてこ」
のように働く必要があります。
その上で
「足アーチ(足弓)」=「planter arch」 =”土踏まず”
があり、足部の骨格の全体の配列は上方に隆起した軽い湾曲を呈します。
安静立位では体重の50%が等しく両足の距骨(アーチの1番てっぺんの骨)にかかり、踵へ25%、母指球と小指球に25%分散させています。
アーチはスプリント(力を溜めるバネのようなイメージ)の役目を果たし、衝撃を吸収し、歩行・走行を円滑にするとともに推進力を効率よく地面へ伝える役割を有します。
アーチについて
足部には「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」の3つのアーチが存在し、三角形を単位とした骨組みで曲げる外力に対して材料が変形しにくい構造になっています(トラス構造)。
アーチを保持する足底靭帯・足底腱膜(足の裏にある、触ると硬さを感じる部分)が伸ばされることで緊張し、アーチが強化され、トレラン時の足趾による踏み返しとそれに続く蹴り出し動作に関与しています。
足部には26個の骨が存在し、細かい靭帯や筋膜、筋肉によって繋がれており、各々の機能破綻が変形を招きます。
その代表例が扁平足です。
後脛骨筋やアーチ形成に関与する筋肉の筋緊張低下や靭帯の緊張低下等により、足底全体で着地し衝撃分散機能が低下します。
更に、扁平足は下腿を内旋させるため、膝は「knee in」といって着地ごとに内股になるため、膝の靭帯への負担も大きくなります。
細かい説明は下記のツイッターで足部の構造を捉えながら読むとわかりやすいです。
1番表層の足底腱膜は省略されていますが、足指が動くごとに(ランニングを想定すると、蹴り出すごとに)これらの細かい筋肉が収縮し、26個ある小さな骨をガチッと固めて,強固な状態にしています。
着地して体重を支持する際にも、三角形の頂点から受けた荷重を前後へ逃がしながら推進力へ繋げているのです。
以上が、トレラン時に足部への負担がかかっていく様子を解剖学的・運動学的に補足する根拠になります。
トレランでアーチを維持するためのテーピング応用

アーチを保つための補助が3つあります。
アーチサポートに関与するもの
「テーピング」
「アーチパッド」
「インソール」
テーピングは基本的な戦略で、更なる活用により剛性を高めることが可能です。

更に固める方向に向かうと以下のようになります。
アーチ3つ全てを補助するやり方です。


上から見ると前回との違いが分かりにくいですが、今回は「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」全てをサポートする貼り方になっています。
こちらの方がより固定性をアップさせることができます。
実際、足に巻いて貼ってみると、前回よりも固定性が上がった感覚です。
*パート①で「テーピングの種類」の項を載せましたが、強固に固めるほど関節の可動性はなくなり機能性(運動の効率性)は下がります。足部の状態に応じて自分に合ったテーピング技術を生かす工夫が必要です。
まとめ|トレラン×テーピングで完走を目指そう
トレラン時のテーピングの貼り方についてでした。
テーピングによる補強は足を守る上で重要ですが、大前提は「現在の自分の体力に合わせてレースや練習を行うこと」。
耐えられない負荷を急激に与えると、若年者であっても怪我をするリスクは上がります。
現状のレベルから一歩ずつ負荷を上げていきましょう。
それでは!