
こんにちは、Tazです。
今回の内容は「健康長寿を意識したランニングの適量とは」です。
ランニングハイなんて言葉があるように、ある時急にハマって通常より過度に追い込めたり、一度関節を痛めても休んで元どおりになればまた負荷をかけてしまったり、中毒性のあるスポーツがランニングです。
しかし、何十年も先、痛みを抱えながら無理してやってたことが意外にも大きな負担としてのしかかってきた、としたら、厄介ですよね。
「ランニングの適量はどのくらい?」
「健康を意識してランニングしてるのに、返ってカラダを痛めているようなら嫌だな。」
そんな読者に向け、今回は「健康長寿を意識したランニングの適量について」、適量や頻度について解説します。
専門的な内容は噛み砕いて説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
それではよろしくお願いします。
Contents
ランニング×健康長寿|カラダへの効果

ランニングには大きく4種類の効果が得られるとされています。
ランニングの効果
① 心血管系の改善:心肺機能↑、安静時HR↓、血圧↓
② 代謝系の改善:グルコース取り込み能↑、インスリン感受性↑、HDLコレステロール↑、中性脂肪↓
③ 筋骨格系の改善:筋肉量↑、下肢骨密度↑、変形性関節症↓
④ 神経精神系:脳の認知機能領域↑(認知機能↑)、抑うつ症状↓
これらの効果が高血圧や糖尿病を抑え、心筋梗塞、脳卒中の予防に繋がり、高齢者だと骨粗鬆症やフレイルといった、虚弱、認知症の予防に貢献します。
ランニングはカラダ全体に有益な効果を得ることができる種目といえるでしょう。
単に体力がつく、こと以外に
精神的に良い影響を及ぼす
体脂肪が減り、外見が改善する
といったことも期待できます。
しかし「適量」があることが知られており、やり過ぎによる弊害も報告されています。
次に、健康長寿を意識したランニングの適量について述べていきます。
健康長寿×ランニング|どの程度で量で効果が得られるか

平均年齢44歳を対象とした研究では、1日5-10分行うだけでも、心血管疾患のリスクを下げることができるとされています。
反対に週に150分以上走る人は、死亡率がやや上昇するようです。

もともと心筋梗塞を経験した人においても、1週間に50km以下であれば走る方がベネフィットが高く、1日7.1kmを超えたランニング、あるいは1時間に10.7kmの速度で実施すると、効果が弱まるとされます。
「少しやりさえすれば効果があって、やり過ぎは返って逆効果なんだ」
そう感じたかもしれません。
研究データの解説を続けます。
ランニング習慣のある人とない人で比較すると、ランニング習慣ありの健常人が1番死亡率が低く、ランニング習慣のない健常人、激しいランニングをする健常人は、死亡率が同等に上がるとされています。

激しいランニングをする健常人の定義は、11.2km/h以上の速度で1週間に4時間以上走るヒト、もしくは2.5時間以上を週3回以上実践しているヒトです。
「たくさん走るから消費カロリーも上がって太りにくそうで、健康そうだけど、意外にそうでもないんだ。」
健康長寿を意識したランニングには適量があるのです。
ただ「ハードに動いたら効果が少なくなる」というのは、何となく理解できる話ではないでしょうか。
ポイント
座りがちな生活よりは適度なランニングは身体に好影響を及ぼすが、あまりに激しいと効果が薄く、U字の曲線を描く。
別の研究では、余暇の運動時間において、中活動は1日100分、高活動は1日50分で健康増進上のプラス効果はプラトーと述べています。
週あたり92分、もしくは1日あたり15分の運動しかしない低活動群は、全く活動をしない不活動群に比べて寿命が3年長かったようです。
1日15分運動時間を増やすと、死亡率が下がっていき、100分以上運動しても健康上のベネフィットはなく、プラトーになるとされます。

不活動:<3.75METs-h/week
低活動:3.75-7.49
中活動:7.50-16.49
高活動:16.5-25.49
非常に高活動:>25.49METs
ほぼ座ってるから寝っぱなしのヒト→不活動
1日当たり散歩を10分くらいしかしなくて、あとは家にいるヒト→低活動
1週間に1回くらいは30分、もしくは1時間くらい散歩をするけど、後は家でゴロゴロしているヒト→低活動
午前中、もしくは午後、1-2時間程度テニスをしたりジョギングをしたり、息が少し切れるような運動をするヒト→中活動
午前中いっぱい、もしくは午後ぶっ通しで運動し続けているヒト→高活動〜非常に高活動
あくまで例ですが、低活動よりも中活動、高活動よりも中活動が理想的といえます。
健康長寿×ランニング|膝の痛みについて

健康長寿を意識していたのに、痛みをかばって走り続けて、慢性的に使いすぎて歩けなくなった、なんていったら本末転倒です。
ランニングの膝への影響はどのようなものなのでしょうか。
中高年ランナー(平均年齢59.7歳、月間走行距離平均149.9km)を対象とした研究では、腰痛→膝痛→下腿三頭筋・アキレス腱の順に症状が多く、月間200kmを超えると症状が増加するとされます。
30歳の市民ランナーでは、膝→下腿→足部の順で、200km以上・未満で差はないとされます。しかし、急激な練習量増加は症状出現に関連するとされています。
変形性膝関節症に対しては、現在はランニングにより発症が増加するといったエビデンスはないといわれています。
過去にトップランナーであった経歴を持つ人は、将来の下肢関節障害の発症は低いと報告されているため、ハードに関節を使いこなしたからといって、年を重ねた際に関節症を引き起こす心配は少なそうです(ないとは言えないでしょうが)。
痛みが出てもうまく付き合っていくことが重要で、無理は禁物です。
まとめ|健康長寿×ランニングでは酷使は厳禁

「心臓は、一生のうちに拍動する回数は決まっているから、あまり酷使しない方が良い」
そう言われています。
ランニングをしていると関節痛や筋肉痛などの痛みは必ず経験し、しかも歩行に比較して何倍も下肢の関節に負担がかかるとされています。
心臓と同じように、関節も磨耗して将来身体を支えられないものになってしまうのかなと思いましたが、意外にもそうではないようですね。
しかし、無理に負荷量をあげる、もしくはハードワークを続けることは、カラダ全体への負担としては大きいため、適度な量・負荷を見定めて、実践していく必要がありそうです。
それでは!
Reference:
青柳陽一郎 : 健康長寿社会における予防医学としてのリハビリテーション -長生きするにはどの程度のランニングが最適か- 2017
大森豪:中高年ランナーの下肢障害 2017