有酸素運動 運動

医学修士生が解説|脂肪燃焼には筋トレより有酸素運動が大切な理由

10月 7, 2020


脂肪燃焼と有酸素運動について知りたい人

 

「脂肪燃焼に有酸素運動はいいの?」

「無酸素運動との違いは?」

 

こういった疑問に答えます。

 

☑️ 本記事の内容

◯ 脂肪燃焼に有酸素運動は効果的か?

◯ 脂肪生成のメカニズム

◯ 脂肪燃焼のメカニズム

◯ 無酸素運動(筋トレ)との違い

◯ 有酸素運動の種類

◯ 有酸素運動実践の負荷量や時間

こんにちは、Tatsuです。

2014年からランニングを開始し、継続して9年になるダイエットブロガーです。

 

普段の体重を58-62kg(BMI換算で20-22の範囲)で調整しながら、学生時代と変わらない体型を維持しています。

 

今回の内容は脂肪燃焼には筋トレよりも有酸素運動が大切な理由について解説します。

 

ダイエットの1つの狙いは「脂肪燃焼」です。

 

脂肪燃焼と有酸素運動は重要な関係性を持っています。

 

この記事を通じて、あなたに有酸素運動と脂肪燃焼に関する理解と、無酸素運動との付き合い方についてお伝えしたいと思います。

 

よろしくお願いします。

 

脂肪燃焼に有酸素運動は効果的か?

結論、脂肪燃焼に有酸素運動は有効です

 

「ダイエットには筋トレと有酸素、どちらが効果的か」よく論争になりますが、脂肪燃焼に対して1番効果の高い運動の種類が「有酸素運動」です。

 

筋トレも効果的ですが、理屈からいえば有酸素運動一択。

 

順に、その根拠を見ていきましょう。

 

脂肪燃焼×有酸素運動|脂肪生成のメカニズム

脂肪燃焼の理解を深めるために、「脂肪生成の原理」をみていきましょう。

 

脂肪とは

脂質は、単位重量あたりの熱量が9kcal/gと他の三大栄養素の2倍以上あり、生体は食物から摂取した脂肪をエネルギーの貯蔵法としても利用している。

参照:wikipedia

 

定義づけが難しいとされる脂肪ですが、体内で蓄積された余剰分のエネルギーが代謝されておきかわったものが脂肪です。

 

摂取した糖質→小腸グルコース→筋肉・肝臓グリコーゲン→脂肪組織へと変換されます。

 

筋・肝グリコーゲンの貯蔵量は、一般的に400g程度。

 

摂取した糖質は、消費した分はそのまま燃えますが、余剰分は中和されることはなく、形を変え体内に貯蔵されるんですね。

 

それが、グリコーゲンだったり、脂肪だったりするのです。

 

「グリコーゲンの貯蔵量には限りがあるのか。」

「余った分は脂肪細胞へ変換されるんだね。」

 

体内に脂肪細胞が蓄積され、必要時は適宜分解してエネルギー源となっています。

 

因みに、血糖値を正常にコントロールするのは「インスリン」

 

インスリンの分泌能は、欧米人とアジア人で異なり、アジア人は弱く,糖→脂肪変換が起こしにくいとされています。

 

タツ
欧米人とアジア人の体型を見れば一目瞭然です。

欧米人を見ると、アジア人には想像できないような太り方をしている人がいます。

 

これは膵臓のインスリン分泌能の違いで、アジア人は膵臓機能が弱く、脂肪蓄積が滞るためです。

 

血糖コントロールがうまくいかなくなるのが、糖尿病。

 

更に、脂肪というのは単に脂肪として蓄えられているだけでなく、インスリン抵抗性に関わる内分泌臓器であることがわかっています。

 

「インスリン抵抗性??」

 

インスリン抵抗性とは

インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態。

参照:e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

脂肪がつくと、インスリンの働きが低下していきます。

 

つまり、膵臓にとっては負担だということです。

 

膵臓によるグルコース取り込みは「~180g/日」と言われています。

 

グルコース生成は~70g/日(糖新生、グリコーゲン分解)。

食事からの摂取は平均で~180g/日。

 

グルコース消費は脳が~250g/日,その他の部位で~125g/日となっています。

 

このような生成と消費のバランスで、余剰分は脂肪組織として変換して、体内に蓄積しています。

 

脂肪燃焼×有酸素運動|脂肪燃焼のメカニズム

次に、蓄積した脂肪組織の利用方法について解説します。

 

結論、エネルギー生成を起こす=ATPを産生する過程で利用されます。

 

脂肪細胞の燃焼方法

体内でATPを生成する過程で燃焼する。

 

ATPとは「アデノシン三リン酸」といい、筋肉の収縮など、生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用に関わっています。

 

脂肪燃焼をして、ATPを生成し、体内でエネルギーを発生させる必要があるのです。

 

ここに、筋トレと有酸素運動、どちらが脂肪燃焼に有効かの答えがあるのですが、無酸素運動では脂肪はエネルギー源として活用ができません。

 

無酸素運動で利用されるエネルギーは「糖質のみ」です。

 

血中にあるグルコースや、肝臓・筋グリコーゲンを分解して、ATPを産生させて筋肉が収縮します。

 

反対に有酸素運動では、グルコースやグリコーゲンの他、脂肪細胞もエネルギー源として活用されるのです。

 

そのため、脂肪燃焼には筋トレよりも有酸素運動の方が良いのです

 

30分運動をする場合、30分後、有酸素運動では338kcalのカロリー消費が見込めます。

(70kgのヒトが早歩き(1km6分程度のスピード)した場合)

 

同一条件で筋トレをすると、消費カロリーは60-150kcal程度にとどまることがわかっています。

(1分やったら1分休憩というハードメニューにも関わらずです)

 

エネルギー消費の観点においても、どちらが効率的かは明白です。

 

「無酸素運動では痩せないの?」

 

という声が聞こえてきそうですが、そういうことではありません。

 

筋トレの効果によって筋肉がつけば、その後ご飯を食べたとき、筋肉へのグリコーゲン蓄積量が多くなります。

 

脂肪細胞への変換が起こりにくくなるわけです。

 

タツ
「有酸素運動をして脂肪を燃やし、筋トレをして太りにくくする」

この考え方がしっくりくるかと。

 

筋・肝グリコーゲンの貯蔵量が増えるわけですね。

 

脂肪がついて「ボテッとした体型」から遠ざかっていくことが容易に想像できるでしょう。

 

また、基礎代謝が上がり、痩せやすい身体に仕上がっていきます。

 

ダイエットには追い風です。

 

「ダイエットには食事をベースに、有酸素運動をして脂肪を燃やすこと」

「加えて、リバウンド防止目的に、筋トレを適度にすること」

 

こういう風に頭の中を整理するのが良いでしょう。

 

余談ですが「ケトジェニックダイエット(低糖質ダイエット)」という、特殊な経路を使ったATP生成=脂肪燃焼の方法があるのは事実ですが、応用編。

 

適度に糖質を摂取することで脂肪燃焼が効率化していきます。

 

筋トレ後、有酸素運動後、いづれも消費カロリーの増加は24時間で100kcal程度。

 

微々たるものですので、有酸素運度や筋トレの効果は中・長期的な視点(1ヶ月後、3ヶ月後など)で効果を見るのがベター。

 

短時間高強度運動(HIIT)は、フィットネスの向上は認めるものの、健康へプラスかどうかのエビデンスが確立されていません。

 

むしろ整形疾患、心臓発作の発生上昇、コンプライアンス(実践と継続)を下げるとされています。

 

脂肪燃焼×有酸素運動|具体的な有酸素運動の種目

代表的な有酸素種目は以下の通り↓

有酸素運動の種目

・踏み台昇降

・ステッパー運動

・エアロビ

・ダンス

・サーキットトレーニング

・ランニング

など

 

他にも様々な種類があります。

 

いづれもMETsの高いものを選択すると、効果的。

 

オススメ
運動強度(メッツ)の概念を徹底理解|カロリー計算を詳細に捉えよう

続きを見る

 

注意点は、上記の種目を選んだとしても「有酸素運動の閾値を超えてしまうと、有酸素運動にはならない」ということ。

 

無酸素運動になってしまい、ランニングしてるのに筋トレしてるみたいになってしまいます。

 

そうなると繰り返しになりますが、脂肪をエネルギーとして活用することはないため、脂肪燃焼からは遠ざかります。

 

体力がないうちは、低強度の運動負荷で繰り返し、体力がつくのを待つ必要があるのです。

 

脂肪燃焼×有酸素運動|具体的な運動時間や負荷量とは

有酸素運動の具体的なやり方|その① 運動時間

ガイドライン上、1週間で2000kcalの運動によるカロリー消費が、減量・もしくは減量した体重の維持において推奨されています。

 

減量問わず、健康の観点から言えば、死亡率を下げる運動下限は、1週間で最低1000kcalとされています。

 

運動の目的次第で、目標とする運動消費カロリーが変わるわけです。

 

タツ
自分にとって意義ある目標が運動継続には必須です。

各自で目標を明確にしましょう。

 

有酸素運動は、1度に30分やった群と、10分×3回と小分けにやった群では、効果に違いがないことが明らかにされています。

 

「まとめてやっても、小分けにしても良いんだ!」

 

ライフスタイルに合わせ、好みのやり方で実践していきましょう。

 

有酸素運動の具体的なやり方|その② 強度

HRを目安にした方法

筋トレによるHR上昇は、血中カテコラミン上昇によるもので、有酸素運動による酸素時需要の増大→HR上昇とは異なります。

 

有酸素運動とはメカニズムが異なり、体力も上がりません。

 

有酸素運動時は、最大心拍数の40-60%に保つのが良いとされています。

 

最大心拍数は「220-年齢」の式で簡易的に算出が可能。

 

日常使いならこれを基準に、有酸素運動レベルか否か、予測します。

 

30歳男性の例

最大心拍数:220-30=190

最大心拍数の40%:19×4=76

最大心拍数の60%:19×6=114

→有酸素運動は76-114bpmの範囲で調整

 

安静時心拍数は個人差がありますが、基準値は60-100です。

 

このようにして心拍数を高めて血流量を高め、必要な酸素を取り込み、糖質と脂質を分解してATPを生成し、運動を継続させていきます。

 

トークテストによる方法

これは、運動を開始して、声をかけられたとき、返答ができるか、おしゃべりができるか、といったものです。

 

「全く簡単に答えられてしまわない、しかし全く息が上がって喋れない」

 

この中間くらいの負荷量でやっていると、およそ有酸素運動の範囲内で調整できていると推定されます。

 

「会話が可能なら、有酸素レベルって簡易的にわかるんだね。」

 

至ってシンプルで簡単な確認の方法ですが、健常人では有効で日常で参考になる指標です。

 

まとめ|脂肪燃焼目的なら有酸素運動を活用しよう

以上「脂肪燃焼には筋トレよりも有酸素運動が効果的」についてでした。

 

専門書である「運動処方の指針」では、科学的根拠にしっかり基づくことが大切とされています。

 

一方、得られた数値をガチガチな計算式に当てはめ,ガイドラインに沿って実践すべきではないともされています。

 

運動処方は個人の適応力に沿って修正していくことが重要です。

 

運動処方の根本的な目的は

「個人の日常生活を身体活動量が増すような健康的な行動に変容させること」

 

そのような行動様式の変化をもたらすことができる運動処方が最良の処方であるとされています。

 

頭で理解しても、実際の行動に移すときには精神面が大いに絡むからです。

 

原理原則は押さえた上で、誤ったことは慎み、日々の身体活動レベルを引き上げ、有酸素運動を用いて脂肪燃焼を促していきましょう。

 

「健康に投資する」

 

以下の本が参考になります。専門書ですが、運動に興味のあるヒトにとっては、かいつまんだ情報よりも全体像が掴めて分かりやすいと思います。

 

それでは!

 

Pocket

-有酸素運動, 運動

© 2025 世の中からデブが消えるダイエットブログ