
そう感じたことはありませか?

ダイエット中は、筋肉と脂肪は同時に一定の割合で減っていきます。
☑️ プロフィール

国内・海外の論文を下に減量について考える個人ブログを運営。
腹を出さずに9年になるダイエットブロガーです。
これまで多くの減量方法を実践、試行錯誤し、20代にあった腹を出す心配がなくなりました。
ダイエットをして体脂肪を燃やしたい一方、筋肉が一定量減るのは、現代の科学で確かな事実。
しかし「ある工夫」をすることで筋肉量の減少を最小限に食い止めることが可能です。
難しいことはなく、シンプルなためぜひ最後までお読みください。
変な商品を勧めたりしませんのでご安心を。
それではよろしくお願いします。
Contents
筋肉と脂肪はどっちが先に落ちるのか
通常のカロリー制限をしていると筋肉と脂肪は同時に落ちます。
減量中の体組成変化
一般的にカロリー制限で得られた減量では、80-60%が脂肪、20-40%は筋肉が減る。
この事実は様々なヒト(成人男女、太り過ぎ・肥満者、高齢者、代謝性疾患のある人、運動選手など)で確認されており、避けられない事実です。
「理想を言えば、余分についた体脂肪だけ減らしたい」
体脂肪がつくことで「インスリン抵抗性」を惹起し、ますます太りやすくなるサイクルが生まれます。
インスリンとは
膵臓から分泌されるホルモンの一種。糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持つ。
インスリン抵抗性とは
反対に筋肉をつけると「糖質を筋グリコーゲンとして蓄え、脂肪への変化を抑制する」効果が期待できるため、筋肉を保つことはとても重要です。


減量中に筋肉が落ちる理由をもう少し見てみましょう。
減量中に筋肉が落ちる理由
今日におけるダイエットの主流は「カロリー制限」。
その際、糖質を燃料とし、脂肪を燃やします。
また、筋肉を構成する「アミノ酸」も分解され、最終産物である尿素窒素が発生、尿中に排泄されています。
減量中に筋肉が落ちる理由はこのためです。
減量中のカラダ
減量中はアミノ酸が分解され負の窒素バランスになっている。
カロリー制限中は「糖質」「脂質」「タンパク質」全てが分解され不足分のエネルギーを生成しているのです。
タンパク質の分解をどのようにしたら抑制できるか、細胞レベル、分子レベルで研究が進められていますが、タンパク質の「同化作用」を促進させることが、アミノ酸分解を抑制する重要な鍵になります。
減量中の筋肉破壊を防ぐには
体内の「同化=アナボリック」作用を促す
(反対は異化=カタボリック)
年齢、性別含め個人の背景によって効果は異なれど、どのヒトにも共通して得られる効果もあり。

ダイエット中に考慮すること
年齢、性別、民族差、初期の過剰体重の程度(BMI)、減量期間や強度、食事療法、身体活動や運動の要素の有無 など
体組成を改善させるためには、様々な影響を考慮する必要があるわけです。
しかし、一定の見解があることも事実。
次に、その具体的な根拠を見ていきましょう。
脂肪だけ減らして筋肉だけ残す方法
様々な変数が「筋肉と脂肪どちらが先に落ちるか」問題を複雑にさせており、一般化を難しくさせています。
しかし、カロリー制限によるダイエット中、「筋肉量を維持して脂肪だけ燃やす」一定の見解があることも事実。
1番の理想は「抵抗運動+栄養」の組み合わせです。
順番に見ていきます。
脂肪だけ減らして筋肉だけ残す方法|その① 筋トレの効果
筋トレは筋肉のタンパク質代謝を促進させ、筋肉量を上げることが知られています。

基本は「無酸素運動」=「筋トレ」が効果的。
高齢者では青年・中年期の男女以上に筋肉量の減量は「1人で歩けなくなる」などの重大な問題を抱えやすいため、特に注意が必要とされていますが、高齢者で筋トレが難しいヒトは「有酸素運動」でも筋肉量維持が期待できるとされています。
理想は「筋トレ」。
難しれけば「少しの筋トレ+有酸素運動」が効果的です。
脂肪だけ減らして筋肉だけ残す方法|その② タンパク質補填の効果
タンパク質の摂取量を増やすと、全身の筋肉の喪失を防ぐことができ、単独、または運動と相乗的に作用します。
筋肉細胞レベルで見ると、筋タンパク質は合成と分解を繰り返しており、1回の食事で0.24-0.4g/体重kg分のタンパク質を摂取すると、合成が促進され、それ以上摂取してもプラトーとされています。
これ以上一度に摂っても筋合成にはあまり効果がないということです。

魚や肉は100g当たりタンパク質が約20g。
納豆1パック10g弱、卵1個10g弱。
プロテイン1杯大体20g。

タンパク質の中でも「EAA(必須アミノ酸)」が重要で、とりわけ「ロイシン」の供給がマスト。
筋トレ後のロイシンがとにかく大事。

タンパク質のおさらい
タンパク質→アミノ酸→ペプチドの順で分解される。
アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分類される。
必須アミノ酸は体内で合成不可能、非必須アミノ酸は合成可能。
必須アミノ酸を食事から摂取しなければならない。
必須アミノ酸は全部で9種
そのうちの3種がBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)
先ほど例で挙げた肉とか卵などは必須アミノ酸がキチッと含まれているため安心して良いです。
BCAAはその割が1:2:1が良いとか言われてるけど、割愛しますね。
とりあえず筋トレプラスα栄養が重要ということ。
タイミングについても検討されており、やはり血中アミノ酸濃度を一定に保つ方が、リバウンド防止に効果的なようです。
3ヶ月間減量し、その後10ヶ月維持することを目標にした研究では、3ヶ月間の減量で10kg近く(男性120→107kg/女性100→89kg)落ち、その後カロリー管理主体の食事に戻した群は約5kg体重が増え、プロテインペーシングをした群では1kg程度の増量にとどまった。
ーPaul J Arciero, et, al., 2016
プロテインペーシングとはタンパク質の摂取タイミングを分割させる食事戦略です。
1度に消化できるタンパク質量には限りがあるため、複数回に摂取を分けタンパク質を効率良く全身へ行き渡らせようとするもの。
具体的なプロテインペーシング方法
1.4g/体重kg/日もしくは一食のタンパク質摂取量を0.3g/体重kgに調整するといったもの。

研究が少ないですが、参考になる内容です。
また、現在の健常成人のタンパク質平均摂取量は0.75〜0.8g/体重kg/日(約1g)と設定されています。

繰り返しになりますが減量中は筋肉量の維持が重要のため、タンパク質摂取量をどの程度増やせば良いかは種々の研究がされています。
50-70歳女性を対象に、1週間当たり2800kcalマイナスになる食事を20週(5ヶ月)続けた結果、タンパク質摂取量が0.47g/体重kg/日の群より0.8g/体重kg/日の群の方が筋肉の喪失が少なかった。
ーBopp M.J, et al., 2008
12週間カロリー制限ダイエットを実施した際、0.8g/体重kg/日の群より1.4g/体重kg/日の群の方が筋肉量が維持される。
ーLeidy H.J, et al., 2007
成人男性を対象にした1ヶ月間の研究では、タンパク質摂取量を3群(0.8g/体重kg/日 vs 1.6g/体重kg/日 vs 2.4g/体重kg/日)に分けた際、1.6g、2.4g摂取した群が脂肪量減少が大きかった。1.6gと2.4gで効果に違いはなかった。
平均年齢21歳、BMI22-29の39人の活発な男性、10日間維持、21日間カロリー制限(摂取カロリー30%カット、消費カロリー10%アップさせ平均3.2kg減量した)
ーPasiakos S.M, et al., 2013
肥満男性を対象にした研究では、0.96g/体重kg/日と1.42g/体重kg/日でタンパク質摂取量を分け、高タンパク群の方が体脂肪の大幅な低下を認めた。
ーMichalczyk M.M, et al., 2020
研究対象者によって細かいタンパク質量の目安は異なりますが、一般的な1g/体重kg/日より少ないと筋肉量は顕著に落ち、1.6g/体重kg/日まで増加させると効果がプラトーになるようです。

筋肉と脂肪どっちが先に落ちるか|具体的な減量プラン
以上を総括すると、筋肉を維持して脂肪だけ燃やしたいなら「筋トレもしくは有酸素運動」を実施することと、「高タンパクな食事」を意識することです。
そこで問題になってくるのが「減量期間」。
いつまでに何キロ痩せたいのか、という問題。
「1ヶ月で10kg減らしたい!」
「私は3ヶ月で26kg痩せました!」
短期で減量できればそれに越したことはないですが、理想は「減量率は下げる」ようにすることです。
理想的な減量期間
半年でベースラインの5-10%を目標にする。
→体重80kgの場合、半年で4-8kgの減量を目標にする。
1週間で0.5kg程度のペースが理想(過体重のヒトはもう少し多くても良いが、1週間で1kgは減らしすぎ)。
すなわち「緩やかに減量していく」のです。
少し話が脱線するかもですが、「急速な減量」を行うのは主にアスリートです。

少しでも低い体重にすることで、階級を一つ下げられたり、競走馬の割り当てが変わったり、要件を変え試合を有利にするためなのですが、彼らが最も気をつけているのが「筋肉量の減少」。
これらを解決するために、推奨量以上のタンパク質補填を行います。
アスリートが行う食事戦略
カロリー制限は健常者と同様にしつつつ、高タンパク食を実践する。
推奨量以上(1.6〜2.4g/体重kg/日)のタンパク補填をする。
一般健常者の推奨摂取量は1.0g/体重kg/日(総摂取量の10%程度)とされている中、30%を超える割合を摂取し、急速に減量していきます。
これらの戦略がどの程度カラダにとって負担なのかは今後調査が必要ですが、一般的に言われているのが「腎臓への負担増」です。

また、パフォーマンスアップのために筋肉量を増やしたアスリートは、スポーツキャリアを終えた後、身体活動の減少、食事パターンの変更の失敗により「体重増加」しているケースがあるようです。
「昔凄かった選手が、引退して見る影も無くなった」

最終的な「肥満」に直結するリスクとなり、少数の研究者たちが元アスリートの引退後の健康のための最適な減量・食事戦略を探索中です。
急速な減量、価値観や生活に見合わない筋力アップは、デメリットを考慮するべきです。
「結婚式までに◯kg痩せたい」
「大会のために◯kg落としたい」
など、期日の決まった目標があるならともかく、日常のダイエットなら、「緩め」が最適です。
焦りは効果のないダイエットグッズに手を出すきっかけにもなります。

1ヶ月スパンでまずはみて、半年、1年と長期的視点で実践していきましょう。
まとめ|筋肉と脂肪どっちが先に落ちるかは工夫次第で調整可能
エネルギー摂取量をエネルギー要件未満に制限し、身体活動のレベルを上げる(有酸素および抵抗/筋力の両方の形態)ことは、依然として重要な非外科的および非薬理学的な治療的減量戦略です。
これは、アスリートやアクティブな人々のパフォーマンスの目的だけでなく、健康のために意味のあること。
減量の健康上の利点には、インスリン感受性と血糖の改善、血圧の低下、血中脂質プロファイルの改善などがあります。
見た目改善にも効果大!
緩やかな生活習慣にあった減量をしていきましょう。
それでは!
Reference:
David McCarthy and Aloys Berg., Weight Loss Strategies and the Risk of Skeletal Muscle Mass Loss.2021
Paul J Arciero, et, al., Protein-Pacing Caloric-Restriction Enhances Body Composition Similarly in Obese Men and Women during Weight Loss and Sustains Efficacy during Long-Term Weight Maintenance. 2016
Bopp M.J, et al., Lean Mass Loss Is Associated with Low Protein Intake during Dietary-Induced Weight Loss in Postmenopausal. 2008
Leidy H.J, et al., Campbell W.W. Higher Protein Intake Preserves Lean Mass and Satiety with Weight Loss in Pre-obese and Obese Women. 2007
Pasiakos S.M, et al., Young A.J. Effects of high-protein diets on fat-free mass and muscle protein synthesis following weight loss: A randomized controlled trial. 2013
Michalczyk M.M, et al., The Effects of Low-Energy Moderate-Carbohydrate (MCD) and Mixed (MixD) Diets on Serum Lipid Profiles and Body Composition in Middle-Aged Men: A Randomized Controlled Parallel-Group Clinical Trial. 2020